足跡

Yeah Man

 

 

 

 

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足跡

 

 

一九九八年三月…

 

決してきれいとは言えない一軒家に、その日も四人の若者が集っていた。

目立たない場所にある一軒家に『聡明舎』の看板を掲げてすでに一ヶ月。

表を通る人が「こんなところに塾?」といういぶかしそうな目で眺める光景にも

もう慣れてきていた。

前を通る中学生の

「こんなところにある塾なんて来るやついるのかよ」

という嘲笑が中まで聞こえてくる。

 

それでも四人は夢に燃えていた。

今までにない、本当に意味のある学習環境を提供するんだという熱意に

どこよりも素晴らしい授業をするんだという決意に燃えていた。

 

しかし、知名度のない地域の怪しげな一軒家で

「聡明舎」

という看板を掲げている新参者に興味を示そうとする動きは

その時まだ起こっていなかった。

そう、看板を設置して一ヶ月

広告を出して半月なろうとしているにも関わらず

その時点で生徒は一人も集まっていなかったのである。

それどころか問い合わせすらなかった。

 

絶対成功するという自信

本当に成功するだろうかという不安

一人も来てもらえないという事実に対する焦り

 

が交錯する中、四人の若者にできることといえば

来てくれた生徒に絶対に満足してもらえるように

自らの授業を良いものにすべく研修に次ぐ研修を重ねることだけだった。

 

朝から晩まで毎日、授業の練習をした。

 

古い一軒家とはいえ

塾を開くために彼らは資金を持ち寄り使い果たしていたので

経済的にも苦しい状態だった。

たった一つのレーズンパンを四人で分ける。

そういう日もあった。

そういう日が続くと不安になることもあった。

自らに厳しく

妥協をせず

ただひたすらに授業力を上げることに専念する他

焦りや不安を取り除く方法はなかった。

 

興味を持って電話をしていただいた方に

なんとか熱意が伝わるように電話に出る練習も何度も繰り返された。

そうして毎日

 

「いつか来る生徒たちのために」

 

を合言葉に部屋に籠って練習練習に明け暮れた。

 

その日は、三月も始まって一週間が過ぎようというのに肌寒い日だった。

いつものように教室と名付けた六畳の部屋に籠り授業の研修をはじめた。

始めるとあっという間に四~五時間が過ぎてしまうほどのめり込む。

その日はじめて入れた休憩で一人の若者がようやく気付いた。

「雪が積もってますよ」

 

この季節には珍しく外には雪が降り、五センチほども積もっている。

玄関を開けてみると柔らかく新雪が積もっており

音が雪で吸収されているからか

物音一つしないシンと静まり返った世界が広がっていた。

橋戸ハイツの方まで人影がない。

本当に時間が止まったみたいに動いているものがない。

静かな世界だった。

 

と、そこに門から玄関まで伸びる足跡が雪の上に残されていた。

 

「入塾案内(パンフレット)が減っている!」

 

私たちは初めての出来事に興奮した。

興味を持っていただけたことに対して素直に喜んだ。

方を叩き合い、お互いに強い握手を交わして

ようやく一歩前に進んだことに感動した。

状況が好転したわけではないが

絶対生徒たちが来てくれるという自信が強くなり誰からともなく

「この人はきっと来るよ。その人のためにもっと練習しよう!」

と声を荒げた。

その日は、いつもよりも長く、そして厳しい研修が続けられた。

 

翌日、初めて電話が鳴った。

 

「お電話ありがとうございます。聡明舎です!」

 

私は心を込めて電話に出た。

「あの、そちら塾ですよね?ちょっとお話を伺いたいんですけど…」

 

その日は興奮してみんな夜も眠れないほどだった。

小学6年生の女の子が体験学習を受けることになったのだ。

たった一人の体験学習が決まったに過ぎないのだが

あらゆる成功を手に入れたかのように皆で喜んだ。

私たちはその感動・嬉しさを

また「授業研修」という形で表現した。

「来てくれる生徒のために最高の授業を提供しよう!」

皆の思いは一緒だった。

 

『聡明舎』が始まった瞬間だった。

 

一つの行動が人を動かし、歴史を作ります。

一本の電話から始まる物語があります。

 

「聡明」は

今でも誰かがパンフレットを手にしてくれたことに

心から喜ぶ熱い塾です。

これから聡明に通ってみたいと考えている人の電話を

はじめの一本目と同じように心待ちにしています。

そしてその喜びは今でも

「来てくれる生徒のために最高の授業を提供しよう!」

という考えに行き着き、休むことなく日々自己研鑽を続けています。

興味を持った方、是非お電話ください。

 

あなたが加わった新しい『聡明物語』がそこから始まります。

 

                          喜多川 泰

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あれから19年が経ちます。

今でも足跡を読むとこの日のことを昨日のことのように思い出します。

この日と変わらぬ気持ちで体験学習をお待ちしております。

 

春期講習、三月二十五日(土)より無料体験でお待ちしてます。

今回は正式入塾金無料キャンペーンも実施します。

 

 

 

 

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